FC2ブログ
2016-07-08(Fri)

【Re:片思い同好会】活動日誌2冊目 P.12第一歩



【Re:片思い同好会】

活動日誌2冊目
P.12 第一歩





「さすが風太! やってくれると信じていた! 友情というものは本当に素晴らしいな!」
 栗井隆史はサッカー部の赤峰龍太郎から、キャプテンであるミスターハチ高、笹垣亮司の身辺をこそこそうろついていた女子がいなくなったことを聞いたらしい。隆史は桜風太の肩を組んで「持つべきものは友情!」と男泣きのふりをして腕で目元を拭うジェスチャーをしている。
 風太はそのストーカー女子が片思い同好会に所属したことは言えずに「今度アイス奢れよー」と適当に話を濁していた。
「それにしても急になんで消えたんだろな。桜がグラウンドにいた一年を追いかけてたっていうのはレッドから聞いたんだけど。はっ! もしかして桜がストーカー退治最大の貢献者!? これは友情戦隊ラブフレンジャーのグリーンとして盛大にお礼をしなければなるまい!」
 隆史が教室の後ろで女子同士固まっている桜雪奈の輪に突入しそうだったので、風太は自分も彼の肩に腕を回して引き止めた。
「あの子はまた別件だからー。気にしない気にしなーあい」
 そして、そのストーカー女子は未だにイケメン亮司を屋上から監視していることはもっと言えなかった。


「個人的に、私はゆき先輩に是非全力でその鈴木先輩にアタックをかけてほしいんですけど。相手が学校にいないというのは結構めんど――いえ、もどかしいところですね」
「そうなんだよー! もどかしい! まさにそれだ! 綾ちゃんは分かってくれて嬉しいよー!」
 一年A組。
 十一番、須崎綾。スザキ、アヤ。
 雪奈の隣に座っているのは、つい先日正式に片思い同好会に入部した綾だった。雨の日以外はほぼ毎日せっせと屋上に足を運び、サッカー部の練習を双眼鏡でまじまじと観察している。双眼鏡は彼女が入部した次の日には部室――という名の倉庫――に持ってきたものだ。ただ覗くだけのおもちゃではなく、ピント調整のダイヤルがしっかりとついたぱっと見からして高そうな双眼鏡である。
 今日は終業式だったため午前中で学校が終わり、雪奈と綾、そして風太と糸岐祥吾の四人で昼食を取っているところだ。
 午後からはサッカー部の練習があるそうで、綾の目的は完全にそこである。今日もすでに「ゆき先輩。一緒にコンビニへジュースを買いに行きましょう。笹垣先輩、今日はお弁当じゃないのでパンを買いに行くと思います」とどこから仕入れたのか不明な情報を披露して雪奈たち三人はすでにドン引きした後だ。しかも雪奈たち四人がコンビニに行くと、本当に亮司が居たのだから恐ろしい。
「というか鈴木先輩の出席日数云々もですけど……、中間試験受けてないならヤバイと思うんですけど。夏休みの補習とか来るんですか」
 昼食を食べながら雪奈と綾はひっきりなしに、雪奈の片思いの相手である鈴木広重の話をしている。彼女らの向かいに並んでいる風太と祥吾は来週発売のゲームの話題をしていて彼女らに割り込む気配がない。
「補習! そっか、補習があるの忘れてた! 鈴木くんも来るかな!?」
「いや、知りませんけど」
 弁当のすみに残っていた玉子焼きを最後に食べた雪奈はペットボトルから麦茶を一気に煽り、立ち上がった。
「ナギーに聞いてくる! そうだよ、もしかしたら一緒の補習かもしんない!」
 弁当を手早く片付けた雪奈が「それじゃ行ってきまーあす!」と倉庫から飛び出していくのを風太と祥吾は適当な返事で送り出す。
「……ゆき先輩って全然行動読めないんですけど」
 思わず綾がこぼすと、風太と祥吾は「オレも読めなーい」「右に同じ」と肩をすくめた。


「鈴木の補習?」
 草薙恭助は弁当を摘んでいた手を止めて椅子を九十度回転させた。隣には雪奈が立っていて「うん。鈴木くんの補習」とニマニマしながら頷く。
「補習か……、鈴木は来たくないって言ってんだよなァ。宿題だけはとりあえず届けるから、その時に改めて試験と補習の説得。――なんだ、桜は鈴木とそんなに仲良かったっけか? こんなに心配してくれるクラスメイトもいるってのに鈴木は……」
 草薙がふうと息をつく。理由すら分からない不登校の広重には彼もどうしたらいいのか分からないらしい。
「それより、お前はしっかり補習来いよー。再試で半分なかったら成績も残念な結果にした上で、特別補習もプラスするぞー」
「えええ! だってあのテスト難しかったんだもーん! 平均点だってすっごく低かったじゃん! どうせナギーが作ったんでしょお! 意地悪っ!」
「ナギーじゃなくて草薙センセェ!」
「草薙せんせえのせいだもん! 数学きらーあい!」
「数学教師の目の前でよーくそんなこと言えたもんだなァ!?」
 普段通りの賑やかなやり取りに職員室のあちこちでクスクス笑いが漏れているのだが、当の本人たちは気づいていない。
 見かねた草薙の隣の席にいた女教師が「草薙先生。一応、職員室なんで」とこっそりと声を掛けてようやく草薙と雪奈は黙った。草薙が半分ほど残った弁当に再び向かい合うので、雪奈は「あー、待って待って!」とそれを止める。
「いいこと思いついた!」
 再び箸をもった草薙が聞きたくなさそうな顔で「なんだよ」と続きを促す。
「補習、鈴木くんと一緒に受ける!」
「いやだから来たくないって言っててまだ来てくれるか分からな――」
「わたしが一緒に行こうって誘ってくる!」
 雪奈の思わぬ申し出に草薙が「はい?」と目をパチクリさせる。
「だーかーらー! 宿題渡してえ、そのまま試験と補習受けようよーってわたしが誘いに行くの!」
 ニッと笑った雪奈が、小首を傾げた。
「ね、いいことでしょ!」


『片思い同好会 活動日誌』
七月二十四日(火)
第一歩を踏み出すよー!
みんな応援してね!(ゆきな)
応援してます。また何かあれば連絡ください。(須崎)


--FIN--


活動日誌2冊目、ここで終わりです。次から三冊目です。

ストーカー綾ちゃんが仲間になり…
とうとう雪奈のターンが回ってくるような。
さあみんなでレッツ夏休み!


P.11  活動日誌3冊目P.1


目次
スポンサーサイト



テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

コメント

No title

ここまで読みましたー!

ラブレンジャーがツボで笑いが止まりませんwww
そしてまさかのストーカーさんも同好会に入るとは…
須崎さんが先輩を見ているのは好きだからじゃない、って…一体何を考えているのだ…((((;゚Д゚)))))))そしてそしてストーカー情報網凄すぎ…

そしてついに鈴木くんが登場なるか!?鈴木くんがまったくのベールに包まれてて、どんな人物なのかドキドキです!
活動日誌三冊目が気になる(>_<)

>たおるさん

感想ありがとうございます!

ラブフレンジャーをありがとうございます!!
グリーンがひたすら暴走しているだけって感じもありますが、いいやつなんです、グリーン。
ラブフレンジャースケルトンとしてたおるさんも活動がんばってくださいね←

須崎もストーカーの動機がまだまだぼやかされたままでございます…。
これからも彼女には情報を集めまくってほしいところであります。
情報あるところに彼女有り!

鈴木も果たして登場なるか…!?
そろそろ出てきてくれないと雪奈が可愛そうですよね、どうなるやら…。

ではは!
またいつでもいらっしゃーーーーい!!!
カレンダー
09 | 2019/10 | 11
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
プロフィール

Nicola

Author:Nicola
Nicolaです。ニコラ。

長編小説がメインです。
時々短いのも。

何かあればコメントやTwitter(@Nicola_nn)へお気軽にどうぞ。

長編シリーズ
■連載中■

ココノアの翼】
ファンタジー/宿暮らし/精霊

Re:片思い同好会
学園モノ/青春/恋愛


■完結済■

インアスター
全157話

インメモリー
全36話
※インアスター後日譚

ニコとセシルの物語
本編10話/完結編52話

LOST WAY
全15話

ティッカータック
全104話

Heart Loser
全124話

その他小説
パロディ
※Nicolaのセルフ二次創作
※現代舞台・性転換有り

ビーカーで紅茶を
っゅさんとのリレー小説
※現在停止中

夢日記
※実際に私が夢見た内容を小説に

短編


※企画物・Twitter小説等

カテゴリ
最新コメント
カウンター
ついった
お気軽にフォローどうぞ
ついった(キャラ用)
【KNOW ME】のキャラが適当におしゃべりしてます
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

リンク
検索フォーム